89歳女。
 7月22日夜,入所中の施設内で転倒し,右前腕に裂傷を受傷。直ちに当院ERを受診。動脈性出血があり,バイポーラで止血後に創縫合したが,縫合中に再出血したため,創を開いてバイポーラで止血を試みたが出血は止まらなかった。そのため,アルギン酸塩被覆材(カルトスタット)を創内に充填して5分ほど圧迫したところ,止血が得られた。創は縫合せずに開放創として翌日,当科を受診。
 当科では創内のカルトスタットを取り出し,出血がないことを確認し,施設の職員に「穴あきポリ袋+紙おむつ」(勝手に鳥谷部先生のサイトにリンク)のち療法を指導。あとは施設でドレッシング交換を続けてもらい,何か異常があったら受診するように説明した。

7月23日


 止血剤料としてのアルギン酸塩被覆材の面目躍如,という症例である。
 この症例のように深い裂傷では止血に難渋することが多い。ペアンで出血点をピンポイントで摘んで電気メスで凝固するのが一番確実だが,救急外来ではなかなか難しいと思う。こういう場合は,この症例のように創内にアルギン酸塩被覆材を詰めて数分間圧迫すると,止血できることが多い。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/989/index.htm】

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