35歳男。
 7月17日午前2時頃,水道工事中に5kgのおもりを右中指・環指にぶつけ,直ちに当院ER受診した。同日午前中に当科を受診。
 爪根部脱臼を伴う中指末節骨の開放骨折を認めた。局所麻酔下に抜爪し,爪床裂傷部を明らかにし,4-0の吸収糸で縫合し,骨折も整復した。爪床はヘモスタパッドで被覆し,さらに熱可塑性プラスチックで中節部〜末節部を固定するシーネを作成して外固定を行った。
 翌日からはプラスモイストで被覆し,自分でドレッシング交換とシーネ装着ができるまでは毎日通院してもらい,それ以降は週に2回の通院とした。
 4週間で骨折部に圧力を加えても痛みはなくなり,骨癒合が得られたと判断してシーネ固定は終了し,通院も終了となった。

7月17日 7月17日 7月18日 8月15日


 この本にも書いたが,指節骨(基節骨・中節骨・末節骨)の骨折ではレントゲン写真は全く役に立たない。化骨が見えないからだ。だから,レントゲン写真をとっても骨折部が癒合しているかどうかはわからないし,「化骨がまだ見えない」と無駄に固定を続けることになりかねない。
 骨癒合の指標として最も有効なのは,骨折部を押したりしても痛みがない,という所見である。末節骨の場合なら,「指先を強く叩いても痛くない」なら,骨癒合が得られていると考えてよい。  

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/〇〇/index.htm】

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