56歳男性。知的障害あり。
 9月19日,自宅で転倒して臀部を強打。〇〇病院を受診し,安静のために入院となった。その後,左下腿の熱感と腫脹あり,発熱が続いた。25日に左下腿を切開排膿。26日に同部の外傷性動脈瘤を認め,当院心臓外科紹介となり入院。
 前脛骨動脈の中枢のコイル塞栓を行ったが,その後,仮性瘤が増大したため,11月2日に末梢側もコイル塞栓。その後,皮膚に潰瘍が生じて皮膚壊死したため,当科紹介となった。
 11月5日,当科初診。左下腿前面中央部に直径5センチの皮膚欠損があり,巨大な皮下血腫と腫脹を認めた。血腫は直ちに除去せず(・・・何しろ経過が経過なので)「穴あきポリ袋+紙おむつ」(勝手に鳥谷部先生のサイトにリンク)で創部を被覆し,ゆっくりと血腫を除去することにした。
 当初は,血腫が除去できればなんとかなると考えていたが,血腫がなくなった頃から下腿前面外側の筋群が壊死(何しろ,動脈塞栓術を行っている)が明らかとなり,壊死した筋組織を除去した結果,脛骨が広く露出することとなった。
 一時は「どうなるんだろうか?」と不安に駆られたが,愚直に穴あきポリ袋での被覆を続けた結果,深部から肉芽が上がって脛骨は覆われ,数ヶ月を要したがきれいに上皮化した。

2013年11月5日 11月8日 11月13日
創面に露出しているのは
壊死した筋肉
11月21日
筋の壊死が一気に進んだ

11月26日
遠位にポケット拡大
12月2日
切開して
ヘモスタパッド(R)
圧迫止血
12月4日 12月9日
この頃,脛骨が
肉芽で覆われた

12月24日 2014年1月6日 1月14日 5月2日


【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/596/index.htm】

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