72歳女。10年前から糖尿病でインスリン治療を受け,その後,腎不全から人工透析治療を受けている。
 5年ほど前から右足趾の壊死があったが,家族がネットで勉強してラップとワセリン,水道水洗浄で処置し,悪化させずに経過していた。5ヶ月前,大腿骨頸部骨折で〇〇病院整形外科に入院したが,皮膚科からイソジンシュガーが処方されてから一気に壊死が進行し,足底全体が壊死した。整形外科の主治医から「直ちに下腿切断しないと敗血症で死ぬ」,と説明されたが,患者は「死んでもいいから足を切らないでほしい」と希望し,家族が切断しない治療についてネット検索。
 2020年5月2日,当院を受診。全身状態も悪く,右足全体の循環も不良のため,壊死組織のデブリードマンはドレナージルートを確保するためにのみ行い,創部はズイコウパッドで覆うのみと説明。また,悪臭対策として瑞光メディカル キズ消臭シートで対処できることを説明。これで在宅でも悪臭に悩まされることがなくなった。

5月2日
患者さんには「足がないと三途の川を渡るのに不便ですからね」と説明。
患者さんは納得されたようで笑顔。
その後,デブリードマンする。
5月9日
残っている壊死組織を除去。
5月16日
5月22日
壊死組織を切除しても,肉芽が上がってこない。
5月30日
肉芽形成は認められない。
6月6日
遠位部にわずかに肉芽が形成されている程度で,創部に治癒傾向は認められない。
6月20日
体調が悪く6月13日に受診できなかったとのことで,6月20日に受診。
急速に患肢全体の循環が悪化し,全身状態も明らかに悪化。
いつも付き添ってこられた娘さんに「もうお迎えが近いと思います」と説明。
数日後に永眠されたが,「足が取られなくてよかった」と仰られていたそうだ。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/3494/index.htm】

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