9歳男児。
 2月15日朝,登校途中に転倒して左前額部裂創,左頬部擦過創を受傷。近くの〇〇総合病院救急室でテーピングしてもらったが,医師の「テーピングによる治療はしたことがないが,やってみます。傷が治らないかもしれません」という説明に両親が不安になり,がネットで調べ,同日夕方,当科を受診した。
 初診時,前額部裂創は短く切ったステリストリップでテーピングされていたが,その上から圧迫はされていなかった。ガーゼを除去したところ,テープは全て出血で浮いていて,創離開していた。頬部擦過創もむき出し状態だった。
 両親に,この時点でテーピングしたとしても恐らくくっつかないこと,保存的治療で総閉鎖が得られること,最初は瘢痕がやや目立つが時間の経過とともに目立たなくなることを説明し,前額部はプラスモイストで,頬部はハイドロコロイド被覆材で被覆した。
 10日で上皮化が完了した。

2月15日 2月18日 2月28日


 小児の顔面裂創の大多数はテーピングで治療でき,私は過去10年間,小児の顔面裂創を縫合したことはないし,テーピングしなければよかったと思った症例もない。

 治療のコツは

  1. テープ(ステリストリップなど)は短く切らない。長いままで使う。
  2. その上に丸めたガーゼを乗せ,伸縮性のある絆創膏で圧迫し,出血を予防する。
  3. ステリストリップの上にハイドロコロイドやフィルム材を貼るのは愚の骨頂。出血でテープがうき,この症例のような惨状を呈する。
 

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/221/index.htm】

左側にフレームが表示されない場合は,ここをクリックしてください