35歳。東京都稲城市。
 2015年2月4日,仕事(鮮魚店)中に包丁で左環指指尖部を切断。直ちに〇〇病院形成外科に救急搬送され,同指基節部掌側からの逆行性指動脈島状皮弁が行われたが,翌日から皮弁が紫色になり,次第に真っ黒になった。外来担当医に「これで大丈夫でしょうか。死んでいませんか?」と質問したが「これは大丈夫。生きている状態です」と説明された。どう考えても手術は失敗して皮弁が壊死している状態と素人目にも明らかだったため,この病院ではダメだと判断し,ネットで調べて当科を受診。
 3月3日,当科受診。皮弁は完全に壊死していた。過去の同様症例の経過写真その1その2その3を見せて治療方針を説明。プラスモイストで被覆。
 翌日も通院。壊死組織は全て浮いてきたため,無麻酔で切除できた。「治療法はよくわかったし,どのように治るのかもよく理解できました。これなら自分でも治療できます」とのことで,通院終了。

初診時    


 逆行性指動脈島状皮弁は大学病院時代に何度も行った手術です。指の解剖さえわかっていれば簡単・安全に行える手術だと思います。なんでこんな簡単な手術で失敗しちゃうの,というのが正直な感想。皮弁の茎部を十分に遠位まで剥離せず,無理やり指尖部に持って行ったんだろうな。もしかしたら,この医者が生まれて初めてこの手術に挑戦したとか・・・。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1494/index.htm】

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