24歳女。埼玉県深谷市
 生後8ヶ月の時にカップ麺の熱湯で左下肢に熱傷。〇〇病院形成外科で保存的に治療。
 2014年1月ころ,「膝の動きなどで困っていることはないが,見栄えが悪いので傷跡をもっときれいにできないだろうか」と同科を受診したところ,「このままでは瘢痕癌が発生して命が危ない。直ちに入院して手術しなければいけない」説明され,膝窩部の瘢痕拘縮形成術(Z形成術)を受けた。現在も通院しているが,大腿後面の瘢痕も瘢痕癌になるので2月に入院して手術します」と説明されている。
 「傷をきれいにしてほしいと受診したのに,前より傷が目立って醜くり,人前で足が出せなくなった。こんなことなら手術を受けなければよかった。2月の手術は受けたくないが,先生は口を開けば瘢痕癌になって死ぬと脅すばかり。本当に手術は必要なんでしょうか?」とのことで,ネットで調べて当科を受診。
 当科では,瘢痕癌の発生率と発生メカニズムについて説明。併せて,瘢痕拘縮形成術は基本的に運動障害のある部位に行う手術であり,傷跡を綺麗にするための手術でないことも説明。そんな病院からは逃げ出すのが最善の一手,と指導。

2015年1月8日:膝窩部 大腿後面


 この〇〇病院形成外科は日本の形成外科の草分けの一つとして,形成外科業界では超有名。
 だがはっきり言って,この症例にZ形成を行う必要はなかったと思います。患者さんが「手術前は膝の動きは正常で普通に日常生活ができた」と証言していますから。患者さんの希望は「見栄えを良くして欲しい」ですから,「残念ながら見栄えを良くする手術はありません」と応えるのが誠意ある形成外科医の態度でしょう。
 それなのに,「このままでは瘢痕癌になる。明日,癌になっても不思議はない」と嘘情報を提示して患者を脅し,無理やり不必要な手術をしたのですから,この医者の説明を録音しておいたら,医療訴訟ものでしょう。
 それとも,「皮膚移植をする熱傷症例が減って売上が落ちているため,少しでも手術できそうな患者がいたら,嘘でもなんでもいいから言いくるめて手術に同意させて入院させろ」と命令されているのかも・・・。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1371/index.htm】

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