40歳女。埼玉県在住。IGA腎症で治療中。
 2014年11月9日,捨て猫保護シェルターで猫に右中指を噛まれ,直ちに〇〇病院整形外科を受診し,消毒と抗生剤点滴を行った。翌日,腫れと痛みがひどくなったため,同科を再受診し,化膿性腱鞘炎の診断で当科紹介となった。
 直ちに局所麻酔下に細いピンセットで創の深さを診察。1センチほどの深さで大量の膿が溜まっていた。ナイロン糸ドレナージを行いプラスモイストで被覆。傾向抗生剤処方。翌日,痛みはなくなったが,浸出液がまだ多かったため,さらに2日間,ドレナージを継続した。
 11月14日に通院終了となったが,それから4日後,患者さんから患部の写真を添付したメールが送られてきた。

11月11日 ナイロン糸ドレナージ

11月12日 11月14日 11月18日


 この症例を見ても明らかなように,動物咬傷では直ちに抗生剤を投与しても翌日にはほぼ全例で創感染を起こしている。つまり,抗生剤は創感染予防には効果がない。効果があったら,翌日感染を起こすはずがないからだ。
 感染予防に唯一効果があるのはドレナージである。

【アドレス:http://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/1270/index.htm】

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