27歳女。大阪在住。
9月5日，ステンレスの台の角に左手をぶつけて左中指，環指背側を裂傷。近くの〇〇クリニックで縫合してもらった。その後，ネットで調べて湿潤治療をしていると宣伝している△△クリニック（私のサイトのリストには載っていない）を受診し，ハイドロコロイド被覆材で被覆。「傷跡が残らないように早めに抜糸して下さい」と患者自身が医師に申し出たため，9月8日に全抜糸。9日に再受診したが，創が離開しているため，乾燥させたほうがいいと説明されて亜鉛華軟膏が処方された。翌日，会社近くの京都市内の◇◇病院を受診したが，傷が化膿していると言われ，ゲンタシン軟膏が処方された。
ネットで湿潤治療について調べ，東京出張があったため，9月11日に当科を受診。当科では「傷は化膿していないし，亜鉛華軟膏を使うとさらに悪化するだけ。△△クリニックの先生は湿潤治療について聞きかじりの知識しかなく，適当に治療をしているヒトじゃないでしょうか」と説明。ハイドロコロイド被覆材
9月18日に郡田先生から「上皮化しましたよ」と写真添付付きのメールを頂いた。
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| 9月11日 | 拡大 | 9月18日 |
この症例に関連するいろんなこと。
- いくら患者が「抜糸して下さい」と言ったとしても，まともな医者なら「関節にかかっているので抜糸をすると確実に傷が開きます。そうなると，治るのに時間がかかり，かえって傷跡が目立ちます。私なら抜糸しません。それがあなたのためです」と説明すべきである。アマチュアの間違った判断を正すのが，プロの仕事です。
ちなみに，私だったら「私は抜糸をしません。他の病院で抜糸をしてもらって下さい」とはっきり言います。 - この△△クリニックに限らず，大阪市内には「湿潤治療をしています」と宣伝しておきながら，消毒と軟膏ガーゼで治療をする医者が少なからずいらっしゃるようだ。
ちなみに，△△クリニックからは一度も連絡をもらったこともないし，面識もない。 - こおりた ひろ整形形成外科クリニックの郡田先生は大阪で私が最も信頼している医師の一人です。これまで何度も顔を合わせていますし，患者さんをお願いすると必ず，創部の写真を添えて経過を報告してくれます。