新井圭輔先生の本は読んでいないのですが(現在ネットでは売り切れ続出、再販待ち)、もし糖尿病合併症の原因が、高血糖による体内の蛋白質とブドウ糖とのメイラード反応による蛋白質の糖化変性ではなく、高インスリン状態自体が直接悪影響を及ぼす最大の要因ということになれば、無治療のIDDMの患者さんには糖尿病合併症が起こらないということにならないでしょうか。

 高血糖自体は悪ではないということですよね。
 インスリン出ていなければOKということですよね。理論破綻してます。
 インスリンの発がん性など二次的な作 用は否定しませんが、諸悪の根源とするのはいかがかなと思われます。

 まあ、もちろん糖質セイゲニストにしてみれば、糖質制限=低インスリン体質ですから、どちらでもいいのですが、一般の糖質無制限であろうNIDDM患者さんに一概に高血糖はOK、インスリンはダメとオルグするのはどうかなと思われます。

 もともと畑違いの放射線科の先生みたいですし、開業医さん(WCIグループ)みたいなのでクリニックが繁盛すればいいのかな程度の感想です。
 以前、夏井先生がバイキングで対決したおにぎりダイエットとのオバサンと同じレベルでしょう。
 小生、新井先生の本をまだ読んでいませんが、昨年夏の新井先生の講演を拝聴しました。
 そこでは、血糖コントロールと合併症とに相関関係はない、との主張でした。
 これはご自身の多数の患者さんのデータを解析しており、横軸にHbA1c値と縦軸にクレアチニン値をプロットしたグラフに表示されておりました。確かに、低HbA1c群から高HbA1c群に対して、クレアチニン値の分布はほぼ均等で、「血糖コントロールと合併症リスクとの関係は見られない」という根拠として大変説得力がありました。

 氏は、合併症の原因は「インスリンによる医原病である(SU剤やDPP阻害薬等による治療法)」と数年前から主張されておりました。 また 、インスリンは「猛毒」であると主張しており、インスリン抵抗性や低インスリン血症は不老長寿の指標とも述べておられます。それと糖尿病と言う表記は間違いで、糖尿病体質と言うべき、とも言っております。要は糖尿病は病気ではない、とのことです。(これは以前個人的にお会いした時の話で、まだおおっぴらに言えないような環境だったと思います)

 国立がんセンターでの多目的コホート研究に、「インスリン関連マーカーと大腸がん罹患との関係について」という記事がありますが、これもまたインスリンの毒性を表しているかも知れません。
 話題の新井理論では、藤原道長のように無治療で合併症が出ることを説明できない、というお話ですが、インスリン分泌能を保ったままインスリン抵抗性で糖尿病になるケース(メタボ)では矛盾しないように思えます。
 自分で出しても外から入れてもインスリンはインスリンでしょう。
 もし痩せた無治療の糖尿患者で合併症が出れば新井理論への反証になると思えますが、いかがでしょうか。
 パラダイムシフト好きの外科医です。
 新井圭輔先生の提唱する低インスリン療法に関して高血糖か高インスリンか、のどちらでもいいんじゃないかという点ですが、医師の立場からすると全く次元が異なります。
 というのは、糖質制限をしっかりできる方であれば両者のような病態が起こることはないので、何ら問題はありません。
 しかし世の中には、糖質制限をしっかりできない方が大多数いらっしゃいます。

 新井先生の理論では、高血糖のみであれば、腎症や網膜症などの合併症は起きないという点です。
 新井先生は高血糖があくまで糖尿病合併症の原因であるという定説を、ご自身の経験症例から、否定されています。この点が江部康二先生の提唱される糖質制限と新井先生の低インスリン療法とで、似て非なる違いであると、私は解釈しています。

 新井先生の理論では、意識障害が出るほどの高血糖は別として、多少の高血糖は許容してよいとも解釈できます。
 この事実は、私が実際患者さんを診るうえで、これまでの常識とは決定的に異なります。
 私の経験でも、インスリンは使用せずに血糖値300~500mg/dlくらいで診ている高齢の大腸癌術後患者さんがいますが、3年経ちますが全く腎機能障害も、網膜症も出ていません。
 この本は,私も興味があって読みました。ただ江部先生にメールしたところ
 彼は、「インスリンを打ってなければ、高血糖でも合併症はでない」とか、言っているみたいなので私は距離を置いています。
 日本初代糖尿病患者?藤原道長は糖尿病合併症のオンパレードでした。治療なしの高血糖も勿論良くないのです。
 
 ご教示頂きました。
 健常な人に関しては,糖質制限するとインスリンは分泌されないということでいいのだと思いますが,108ページに
高血糖でも低インシュリンにしておけば合併症は起こらない
 
というあたりが問題なのだと思います。
 著者である新井先生の理論は、
『糖尿病治療では、見せかけの血糖値管理ではなく、いかにインスリンの分泌を少なくするか(分泌させないか)が重要だ』
 
 と理解しています。
 糖尿病の治療で処方される薬剤には、程度の差こそあれ「インスリンを強制的に分泌させて血糖値を下げる」ものがあります。
 SU剤の様に、疲弊した膵臓にムチ打ってでも、無理矢理インスリンを分泌させる、「ドS薬剤」のもあれば、DPPⅣ阻害剤の様に、必要な時に必要な分だけインスリンを分泌させ、低血糖症状を避けるものがあります。
 共通するのは、どちらも「インスリンを分泌させる」点です。

 新井先生が提唱される「低インリン療法」は、「インスリンをできる限り分泌させない」ことに主眼に置いていますから、治療の基本は「糖質制限+SGLT2阻害剤」となります。
 SGLT2阻害剤が使用される理由は、糖新生によって上がってしまう血糖値(=糖摂取によらない高血糖症状)を軽減(解消)するため、と理解しています。

 いずれ、ご専門の先生からの投稿があると思います。
 また、新井先生はFacebookでも情報を発信されていますので、そちらもご覧になることをお薦めします。
 よく分からないところがあるので、教えて貰えればということで最近になって読んだ本を紹介させていただきます。

 まず「糖尿病に勝ちたければ、インスリンに頼るのはやめなさい」(幻冬舎)です。糖質制限を基本とする糖尿病治療が主な内容なのですが、非常にユニークな点は、糖尿病による合併症の原因が「高血糖」ではなく、「高インスリン」とするところです。
 「低インスリン療法」という考え方で合併症対策を行い、実績をあげているという。
 糖質制限をすれば、血糖値が下がり、インスリンの分泌量も減りますから、「高血糖か高インスリンか」のどちらでもいいんじゃないかとも思いますが、でもちょっと気になるところです。そこらあたりがどうなのか、教えていただければ幸いです。

 次に「がんでは死なないがん患者」(光文社新書)です。
 がん患者で、本当にがんで亡くなる方は20%未満で、大多数の方は栄養管理の悪さから生じる疾患のために亡くなるという、素人の我々からすると驚くべき内容です。いろんなケースに関して、栄養管理の重要性を指摘する豊かな内容かつ、著者の人柄が素晴らしい感動的な本です。
 ところが糖質に関するとらえ方が、どことなく糖質制限を踏まえた考え方になってないようで、未だに糖質を3大栄養素と主張しているところに少し違和感があったりします。
 そこで質問なのですが、「大病院における術後管理や緩和ケアの現場の栄養管理に、糖質制限の考え方を取り入れたら、この著者の目指すところがもっと確実になる気もするという素人考えなんですが、それは現実的には無理なことなのか」です。

 いずれにしても2冊とも、とても勉強になりました。よかったらご一読ください。
 ちなみに、その前に読んだのは「条件反射制御法」という本です。糖質を食べることが止められないヒトには、ピッタリの内容かもしれません。こちらもオススメです。